映画祭振り返り

「間違いだらけの有機農業を視座に地球を想う映画祭〜振り返り」です。

好天にも恵まれ奈良有機農業映画祭、おかげさまで先日全プログラム終了いたしました。
忙しい季節に、足を運んで参加くださり誠に有難うございました。

この度たくさんの方に広報ご協力、後方支援いただき、
たくさんの方に動いて人生を使っていただいての開催でございました。
たまたま長い人生で、この取り組みの近くにいてくれて
裏方の役割を担ってくださった人も本当に粘り強く働いて下さいました。
あたらめまして感謝申し上げます。

成功か失敗か、盛況か盛況じゃないかは、感じる人がどこから見てるかでよくわかりません。
準備後半から怒涛だったですし、後になってわかってくるのかなと思います。
それにしてもなかなか壮大な種まき、みなさん楽しめたのではないでしょうか。
(おもんなかったという声は今の所届いておりません)
何かしら参加してくださった方々の意志に、動きがあったという手応えは、

運営サイドも確かに感じ取れて、果たしてどの種が芽を出して、花咲くか、この次起きてくることが楽しみです。
足掛け1年以上でございましたし、新しいチャレンジ、たくさんの失敗を実際に地域で経験できたのも大きかったです。

スタッフ終礼の時には、「なんかわからんけどめっちゃいいことをしたなぁ〜」
という声も上がり、自然と笑いあえる場面もありました。
さて振り返りと風景です。
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何と言っても基調講演の関野さん。
講演を聞いていただいた方々もしみじみと学びがあったことや
様々な感想を寄せてくださってます。

厳しい予算繰りの中でしたが、本当に来ていただけて良かったです。
環境問題や農業問題と向き合う時、
どうしたらいいのかわからない、
仕方がない、
と放置することに慣れたり、諦めたりしがちです。
視野も狭くなりますし、
そのような中、
私たちがそもそも自然のサイクルから外れた存在であること。
我々の本来持っている記憶や力に気づくこと。
自分で考え、限定している範囲から出ること。
正しい行いを足元で続けそれを広げること。

共に歩む人や自然の環境を当たり前と思わずに、、
それは奇跡で宝でなんだと。はっきりと教えていただきました。

強張ってるのがのがふっと抜け、受け取ったものをしっかり活かしていこうと思える時間でした。
これからもいろんな方の心を灯し続ける行動をされることと思います。
また機会があればお越しいただきたいです。

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1日目。

「シード」は、一番反響が大きかったです。これまでの種の世界で起きていることに
警笛を鳴らす作品群と違い、非常に引っかかりなく生命の糧であることが表現され
その素晴らしさや、現在の困難、できることを感じることができたように思います。

「お百姓さんになりたい」では、環境保全型農業と地域、または心が通いあう範囲での農業の一つのあり方を見つめる機会でした。ある意味では地味で長いコツコツとした積み重ねでもある農業。経済やメディアとは違う時間の流れ、なぜ自然栽培や有機栽培が少数派で、その中で何ができるのかを考えさせてもらえる作品でもありました。

「小規模農家の生産者会議」は、オーガニックを1本の木に例え、以下のような題目について話し合いました。

◯種子法、種苗法、ゲノム編集。重要な指標、統計について。
◯オーガニックの根底に横たわる問いについて、、
「なぜ私たちは、有機野菜を給食など当たり前に子供に食べさせることができないか?」
「なぜ私たちは、次の担い手、若い生産者を育てることができないのか?」
「いつから有機農家から自然観、死生観がなくなってきたか?」
「なぜ目的意識が、社会からお金に変化したのか?公共心から個人主義について」
◯オーガニックの幹について 、、
「有機農業は乗り越えられるのか?異常気象と送料、人口減少からの集落崩壊、獣害について」
「画面でボタンを押して、あるいは大量のカタログから食品を選び、化石燃料を使って自宅に食品が届く時代はいつまで続くのか?」
「消費と生産。経済と農業に橋はかかるのか?グローバリズムの波について」
「有機農業と、有機農家は本当に素晴らしいのか?大地の所有と世襲について」
◯オーガニックの枝葉について、、
「有機農業は乗り越えられるのか?ひとつかみの勝者を生み出す構造について、陣取り合戦について」
「有機農業は乗り越えられるのか?大規模宅配企業のものとなった現状について。共存できるか?」
「なぜ有機農業では稼げないのか?ひとつかみの勝者を生み出す構造について」
「テクノロジー。大規模化、テキ屋化、ハウス依存化との付き合い方」
「無関心から無反応な時代に耐えられるか」
「消費に後追いの作付けについてと直売所について」
「どうすればいいか。飲み込まれる小さい物語に対して、何か働きかけることができる側の責任について。」
◯たねという本質について、、
在来固定種を撒く。自家採種する。農園の気候風土にあった品種を定めていく。育てていくことから離れていった先にあるもの。今。。

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なかなか難しい問題が多く、進行の世話人も拙く(本人反省しております)苦しみましたが、少しは本質に触れれた気もいたします。現状の力不足も自覚できました。
課題や問題に対して、当然希望も語り合いたいところでしたがあまりできずでしたが。
終了後のある有機農家が、
「今の時代すぐに希望や安心、楽を求めてしまう。しんどい、解決しない、難しいが社会の土台、農業の本質でもあるから、こういう一見どうしようもないように見える時間を過ごせたのはいいんだよ」と話してくれたのが印象的でした。

「トマト帝国」では、圧倒的なグローバル社会における私たちの食の裏側を目撃いたしました。とにかくややこしすぎるし、変なことが多すぎるという。トマトだけでなく、あらゆる食品の裏側で似たようなことが行われているのかと。

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全体的に、この社会、世界において、自然との共生、土と共に生きる難しさ厳しさをシェアできたのではないかと思います。一方、初宮神社さんにご協力いただいた「映画祭マルシェ」はかなりの好評で、小さな商いの良さ、心地よさを感じあえていたのが対照的でした。

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長い振り返りすみません。2日目。

前日の緊張もなくなり、場慣れもあり、会場、スタッフ共に非常に和やかで
穏やかに進めることができました。

「ありあまるごちそう」少し古い作品ではありましたが、いわゆる環境系の映画祭にありがちな、ちゃんと伝える作品ではなくじっくり伝わる、それぞれの主体性に働きかけるような作品でした。食料廃棄。一次産業(農業、漁業、畜産業)。貧困。
食べることの世界で起きている全体像を静かに映し出してくれている秀作で、
私たちが情報に溢れ、時代の流れの速さに飲まれている水面下で、
何が起きているかを共有できました。

「縄文号とパクール号の航海」
こちらは感じる人それぞれの中に眠るものを呼び覚まそうとする作品でしたね。
様々な遠い近い問題が沢山ある中、私たちには超える力、記憶が内包されていることを
具体的に示してくれていたように思います。

「関野さんの基調講演」のことを先にお伝えしましたが、今起きていることの外にある時間、歴史、文化、人の営み、自然の摂理、人間そのものについてお話しいただきました。
視野が広がる体験。実際にそこにいた方だけにしかわからな感覚がありましたよね。

「海-消えたプラスティックの謎」そうです。メイン会場最後は、やはり私たちの命の源海についてでした。最近ようやく頻繁に危惧されるようになったプラスティックごみの海洋汚染。
本当のところ何が起こっているかがまとめられておりました。状況はやはりシリアスですね。気づいた人同士が助け合わないとという気持ちを共有しました。

といったところでした。

一番の課題は、ターゲットだった若い大学生の参加が少なかったことです。
残念でしたが、大学生が忙しい忙しい(年々忙しい)(なんでそうなっているのか?も含めて)理由や、その世代に今回のような取り組みを届ける際の「壁の厚み」を知ることができました。ユーチューブやスマフォでは得られない、今回のような「目に見えないもの」を感じることが、これからの世界ではより大切なので、次があればもっと上手く来ていただけるようにしたいです。

面白かったのは、おひとりさまの小学生や中学生。高校生さんがちらほら来てくださったことで嬉しい気持ちになりました。

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そして、最終日

街場会場2箇所は、満席となり、参加できなかった方々にはお詫び申し上げます。
「お米を食べられなくなる日」では、日本のお米事情をわかりやすい統計とともに
知ることができました。上映後のトークも幅広い年代、様々な価値観を持った参加者皆さんのフィードバックをシェアさせていただきました。

「核と人」
今年もミサイルが日本近海を沢山飛びましたね。
二度目の核の悲劇が起きて間もない日本で、次の世代は核について
新たにどう継承いけるのか?ということを考えあえる良い機会となりました。
社会の土台「農業」、社会の果て「核」地続きにつながっているということで
この映画祭でも上映鑑賞させていただきました。

以上のようなところで、盛りだくさんでございました。
関わる全員で作り上げた場、空間空気、本当にありがとうございました。

そして、、

ペシャワール会の中村哲氏の悲報が届きました。

有機農業を本当に志す人間なら知らない人はいません。
その意志、生き方、魂に深く祈りを捧げたいと思います。
もし次の開催が求められてあるのなら、奈良という地域で
次の世代に引き継ぐためにも、中村哲さんが命がけで全うされた役割。
映像で残してくださっています。
皆さんと一緒に立ち止まって受け取りとりたいです。

奈良有機農業映画祭一同

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

photo by :MIYUKI YAMANAKA