ウクライナの日常や当たり前が
どんどん損なわれてしまっていく中、
巻き込まれる人々の心情を想像しつつ、どうしたらいいのかわからない日々が続いていますね。
コロナの上に戦争まで来て、ひどい時代になってきてしまったと思います。
そんな気持ちを抱えながら「種を蒔くデザイン展」での未来の八百屋について寄稿します。
デザインと言っていいのかわかりませんが、
今進めている取り組み(場面設定という意味ではデザインなのかもしれません)のうちの2つを伝えます。
1つは未来の八百屋の「働き方」でについて前後編で。
もう1つは未来の八百屋の「流通」についてです。
未来とはいえ新しいというより昔は多分当たり前だった取り組みです。
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未来の八百屋の『働き方』〜前編1〜
////CSAファームシェアについて////
今年から奈良の五ふしの草では、新しい働き方に挑戦しています。
働き手が、週の半分農作業をして、残りの半分を八百屋勤務にするという働き方です。
半農半Xはあまり好きではありませんが、
人生のある期間、
若手農家は、マルシェではなく「八百屋で日々野菜を売る」ということの大変さを
学ぶ「べき」だし、
八百屋は、日々「土と向き合うことの大変さ」を体で知る方がいい仕事ができる。
という考えがずっとありました。
たまたま昨年末にいい波が来たのでとりあえずトライしはじめて見ました。
そもそも雨が降ったら滞り、怪我をしたら終わりの小商い、小規模農業、独立系の八百屋。
有事に備えて助け合い分けあうシステムは不可欠です。
しかもお金にものを言わせるというと怒られますが、資本力のある宅配オーガニック企業と
恵みを買い取らない直売所に支配されたオーガニック業界が主戦場だものを、
色々工夫しなくちゃねというところです。
現状仲間2件の小規模農家とトライして、1件がすぐさま頓挫。
始めたものは、思いもよらないことがどんどん起こるものだし、
しつこい性格なので、また切り口を変えて粘り強くやっていこうと思いながら進めています。
ひとまずスタッフのうちの女性2人が、
五ふしの働き方に、割と楽しんで柔軟に付き合ってくれています。
今日も一人が農作業勤務。明日は八百屋さんで「CSAファームシェア」の労働です。
意外と楽しんでくれているのがわかって嬉しいものです。
写真を見てても正しい方向に進もうとしている感じが、
何となくあって、素直に今回の波にのってよかった。
話は少し変わりますが(また戻って来ますが)
五ふしの草は「CSAファームシェア」というものに今一番力を入れています。
それはオーガニックな食の地域自治のことです。
今というか、2014年からずっと全てをかけてやっています。
ちょうどtanetoの奥津さんと出会うきっかけになった、
「森の集い」という企画で敗北したあたりから、
これは農業設計、オーガニックの突破口なのかもしれない、と思い必死に登っています。
知っている方も多いかもしれませんが、CSAファームシェアは、
定義がしっかりありません。ですので割と自由に設計できます。
調べてもらうとすぐわかりますが、大体の基本のところで、
里山の30分圏内の複数の生産者が組んで、50km圏内の50人〜100人くらいの人にピックアップポイントに
有機野菜を取りに来てもらったり、農的なこと(味噌仕込や教室、餅つき稲刈り)
体験を提供したりする。料金は前払いするといった
「食べ方」「買い方」「繋がり方」の協働システム、仕組みが一般的です。
地方都市や平均的な街場では、1時間圏内の4〜5件の生産者や
生産者グループと流通(八百屋や生産者グループ事務局)が組む。
100km圏内の100人〜200人くらいの消費者に
オーガニックを自走し届けたり、ファームスタンドに取りにきてもらったりする規模。
大都市では、150km圏内〜の200人以上の消費者に、1〜2時間圏内の複数の生産者グループと複数の流通が組んで、
小規模農業、家族経営の農家を守るべく、オーガニックを届けたり、取りに来てもらったりする。
いずれも心が通う範囲でビジネスになりすぎないようにするというのが基本理念にある感じです。
その基軸で繋がり合い協働する感じです。
(ですので時には遠方にも発送するというケースも繋がり上ではありえます。)
よく、宅配業者と何が違うの?と聞かれますが、
「地域の小規模若手有機農業を本当に育てようと思う、気持ちの本気さが違います。」とか
「商売になりすぎないようにしているところ。魂や人格が重視なところも違います。」とか
そんなことは言いません。
なんでしょね〜と、ちゃんと答えません。
見て、感じて、違いが何となくでもわかるもの。気づいてもらえる「もの」「こと」を
デザインするしかないという思いがあるのかもしれません。
奈良店でも、奈良らしいCSAファームシェアを育てたり、
作ったもの、仕組みを壊して作り直したりしています。
五ふしが、企画運営させてもらっている奈良のCSAファームシェアは、いろんなものを内包するスタイルです。
具体的には、先ほど説明させていただいた仕組み(地方都市バージョン)を始め、
「生産者グループ」をこしらえたりしています。
生産者会議や作付け会議をして、組合を組織して、解体したり。また作ろうとしたり一進一退です。
有機農家の若手の栽培技術力がここ数年、異常気象とは別にかなり低下していて
(販売営業に時間を割いて、栽培にかけれる時間が少ないからか)
(中堅の有機農家の指導が弱いからかわかりません)
危機感からいろんなスタイルの農地、オーガニックの視察やら技術交流を興そうとしたりもしています。
他には駅前で「ファーマーズマーケット」を定期開催して、
街のオーガニックの成熟がどんなふうに進むか、
いろんなん方々に助けてもらいながら「実験」しているというと怒られますね、続けています。
最後に今回の企画に参加させていただいている八百屋「ファームスタンド」です。
前振りが長くなりましたが、いろんなものを内包するCSAファームシェアを下支えする場所になります。
そこでの働き方の風景と文章を書いています。
つづく
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(未来の八百屋の『働き方』〜前編2〜へ)
#種を蒔くデザイン展
#五ふしの草
写真: 中部 里保
@b.riho